11/04/2008

ディジタル化の荒波

 先日、仕事の現場を見学させてもらう機会があり、興味深い話を聞くことができたので書き留めておきたい。

 今や写真業界では、プロ・アマ問わずディジタルが主流となってきた。感材を使用した撮影はこだわりの世界になりつつある。映像の世界でもディジタルムービーが主流ではあるが、トップクオリティの世界では未だにフィルムを使用しての撮影もあるという。主に技術的な問題によるものだが、ハイスピードカメラを用いて高速の動体撮影をする場合などである。しかし今後ディジタルムービーのハイスピード化が進めば、ここでもディジタル化は免れない。
 またディジタルムービーは一方で、高精細になってきている。これによりムービーの中の1コマを抜き出すことで写真としても使用可能なクオリティの画像をえることができるようになってくるということである。撮影に際しては、ムービー、スチルと2回分の撮影の手間や経費が削減できる(機材の投資という重大な問題をのぞいては)ということから、クライアントには受けが良いと思われるとのことだった。
 この場合、当然カメラマンはムービーとスチルの両方をケアする必要があるのだが、それができうるのはスチルを経験してきたカメラマンだろうということだ。スチル画像としてのクオリティに達したものを撮影する技術は、スチルカメラマンでないとできないというのがその理由だった。対してムービーの撮影に関しては習得が容易であるということのようだ。

 時代の流れは速くて、環境に適応していくのも容易ではないのかも知れないが、その実失ってはならないものもある筈だ。環境が変容していく中で、独自性やクリエイティブな力を持った人の活動が失われていくとしたら、残念なことではないだろうか。それともクリエイティビティがあれば、環境が変わろうとも活躍し得るのだろうか。もし消え去っていくならば、それはそれだけのものであったということなのだろうか。
 時代とのマッチングが必要なのか。