3DTVの開発が進んでいる。
ヒュンダイからは3Dメガネを使用するタイプの3DTVが既に市販されており、フィリップスではメガネを必要としない3DTVの開発発表が既になされている。
HYUNDAI IT製3D映像対応46V型フルハイビジョン液晶テレビ
特製メガネは不要--フィリップス、3DTVを2008年にも発表へ
またBS11が3D放送を2007年12月から開始している。
BS11:3D立体革命
3D映像自体は目新しいものではない。古くは1950年代から、右目と左目でレンズの色が違うメガネを掛けて鑑賞する立体映画が制作された。ではなぜ今、再び3Dなのだろうか。
現在が過去の立体映画の時代と最も異なるのは、映像を取り巻く技術の進歩である。特に家庭用TVにおいては映像の高解像化、ディジタル化などが3D映像を身近なものにしてくれる技術となりうるだろう。またインターネットによる映像配信の普及などは、TV放送の3Dへの移行を促進することになるかもしれない。
6月17日に横浜情報文化センターで「TVが3Dになる日」と題するシンポジウムが開催され、主として3D映像研究開発や3D放送への取り組みについての講演や討論がなされた。特に前出のBS11の長澤幸一郎氏からは3DTVへの取り組みが熱く語られた。
では「TVが3Dになる日」は近いのだろうか?
確かに技術の進歩によって手軽で安価にしかも見やすい3D映像を提供することは可能だろう。しかし3DTVが何を見せてくれるのかということは明確になっていない。コンテンツあってのメディアであるのに、コンテンツの制作についての議論がこのシンポジウムであまりなかったのは残念であった。
IT技術の国際競争力をつけるという政策が掲げられ3DTV技術の推進もその中に組み込まれている。そういった意味では技術開発先行とならざるを得ない部分もあるが、その技術の活用やクリエイターの育成までのビジョンがなければ技術先行で始まった3DTV技術はやがて古びていくこととなるだろう。クリエイターがいて、そのアウトプットとしての魅力的なコンテンツがあり、多くのユーザーを生み出すことでさらに新たなコンテンツや技術が求められるというサイクルがなければ、技術力はやがて没落していかざるを得ないのではないだろうか。
その意味ではクリエイターにもっと技術の公開がされるべきだろうし、新しい技術を積極的に活用しようとするクリエイターのサポートも必要だろう。
魅力的なコンテンツが3Dとなって発信されることで、TVが3Dへと向かい始めるのである。