東京都美術館で開催していた「フェルメール展」に行ってきた。
なにがすごいって、まず人の多さに驚いた。会期末が近いとはいえ平日の昼間なのに入場制限で60分待ちだという。中に入ってもごったがえす人人人。。
フェルメールの魅力は絵に込められた寓意を知らなければという人もいるが、絵そのものの放つ魅力だけでもすばらしい。同時代の他の画家の作品と比較するだけでも彼の卓越した才能を感じることができる。その絵は細密で光の使い方がうまく、配色が巧みでモダンである。
オランダのロイヤルカラーであるオレンジは何度もフェルメールの絵の中に登場するが、その色は輝くような印象を受ける。色自体も輝度が高くて鮮やかなのだが、その色の周りに無彩色や地味でオレンジを浮き立たせるような配色がなされているためでもある。またその色の境界はシャープにコントラストをつけることによってより強調された印象を受ける。
またグラフィカルな要素が取り入れられていてモダンな印象を受ける。白と黒の市松模様の床をフェルメールは絵の中で繰り返し使っており、奥行き感とモダンなイメージを醸し出している。今回の展覧会で特別出展された「手紙を書く婦人と召使い」では床の模様は白と黒の組み合わせだが変則的な模様となっていた。また画面奥に光が当たっているのが白いカーテンであるのに対して、手前で画面を遮るように垂れているのが黒いカーテンであった。この黒いカーテンが画面に変化を与え、控えめだがシャープな光がカーテンに当たっていることで、モダンなイメージを与える。
フェルメールの絵画は三十数点しか残されていない。しかし、その三十数点にも彼の変化や進化を見ることができる。その才能や技術もさることながら、絵に向かう情熱と努力があったからこそ、あの作品が生まれたのだ。
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